
テナントの入れ替わりが激しい本当の理由 —— 改装費だけじゃない“構造”の話
商店街やビルのテナントが“すぐ入れ替わる”現象は、ただ「借主の経営が悪かったから」という単純な理由に片づけられがちです。しかし実際は、建物側の構造的な問題が大きく関係しています。今回はその知られざる背景について、建築・不動産の視点から解説します。
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■ 古い建物が抱える“配線の限界”という問題
古いテナントが撤退し、新しい事業者が入ろうとすると、最初につまずくのが内装工事を支えるインフラです。
築年数の高い物件は、電気容量や配線ルートが古く、現代の機器を安全に使うためには
・ブレーカーの増設
・幹線(太い電線)の引き換え
・天井・壁の開口
などの大規模工事が必要になることが多くあります。
この工事費が高額になり、内装費が跳ね上がる → 新規テナントが敬遠 → 空室化という悪循環が起きるのです。
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■ オーナーだけが悪いわけじゃない
テナント退去時に議論されがちな「原状回復」もまた、誤解されやすいポイントです。
実は、古いテナントが長く入っていた物件ほど、配線・空調・設備が複雑に入り組み、“原状”が曖昧になります。そのため、
・どこまで戻せばいい?
・どの部分が老朽化?
という判断が難しくなり、トラブルが起きがちです。
これもオーナー・借主のどちらかが悪いのではなく、古い建物の構造が原因です。
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■ 初期投資の重さが“入れ替わりの激しさ”につながる
新しいテナントは、事業を始める前に
・保証金
・内装費
・設備工事費
という初期投資が必要です。
もし建物の老朽化で工事が割高になる物件では、
「ここでやるメリットより、別の新しい物件の方がいい」
という判断が起こり、結果として入れ替わりが激しく見える現象につながります。
これは経営判断として当たり前で、借り手の責任ではありません。
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■ “立地価値”と“建物構造”はセットで評価すべき時代
かつては「駅近=価値が高い」という単純な評価が主流でした。しかし現在は、
・電気容量
・防水・外壁の状態
・天井高
・設備更新のしやすさ
など、内部構造のアップデート性が重視されています。
立地が良くても、建物の設備が古いとテナントが定着しない時代になったということです。
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■ まとめ —— 入れ替わりの激しさは“建物の問題“
テナントの入れ替わりが激しい背景には、
・古い配線・設備が内装費を高騰させる
・原状回復の判断が難しくトラブルの原因になる
・初期投資が膨らむため敬遠されやすい
といった“構造的な問題”があります。
借主の経営状態だけでは説明できない、建物の根本的な再生が必要な時代になっているのです。
商店街の空き店舗問題は、単なる「古いから借りられない」という話ではなく、
耐震・内装・設備基準の変化によって、構造的に“借りにくい物件”が増えていることが最大の原因です。
しかし、どの部分が問題なのか、どれだけコストがかかるのかは、
物件ごとに状態が大きく異なります。
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